「奥様!?一体どちらに行かれたのですか!?

全く、手紙の返事も書き終わってないのに……奥様!?奥様!!……。」



とっさに扉の方に向けた自分の首を、ゆっくりリリーさんに向けると、えへっと言わんばかりの顔をしていた。



「いや、侯爵家っていうだけで手紙を送ってくる人に返事なんて面倒じゃない?どうせなら、ちゃんと友人に返事を書きたいわ。

ライちゃん、あなたのお母様のように。」



さて、戻るとするわね。と言いながら立ち上がって、扉を開けた。



「リリーさん!!」



私が呼び止めると再びこっちにきて、気づけば腕の中にいた。



「私たちは、あなたがどんな道を選ぼうと、悪いことをしない限りずっと味方よ。それを忘れないで。」



香ってくる優しい香り。



今度こそ行くわね。


そう言って廊下の明かりに消えて行った。



暗くなった部屋には、私一人。



けど、リリーさんの匂いがほのかに残っている。



大丈夫、一人じゃないよって言ってくれるかのように。



だから、早く来い!明後日!!



一人じゃないから!立ち向かえるから!!



夜ご飯も食べないで、いつの間にか私は寝ていた。