それでも歯車は回っていく2 〜王国滅亡編・上〜

「生前、ライちゃん……ファライア様にお会いしたことがあってね。

精霊を体内に宿すと、その精霊を生かすために、自分の精霊量を分け与えるのだと。

けれど、体内で封印でもしていれば話は別だとも聞いていたわ。」



つまり、私の過去を探ろうと封印を解いてしまったために水神様は覚醒して、私の精霊量は減っていた。


そのまま封印されていれば、精霊量が減ることも、原因を探って卒業後ファレリア様に会いに行くことも、今こうして王女になるか否か考えていることもなかった。


水精様さえ目覚めなければ、あなたの今はなかったはずよと。そんな感じの後悔をしてまで……


「当初は、どうして全く関係のない私なんかに話したのかと思った。

元からヴィーナスの貴族じゃない者同士とかなんとかこじつけて話しかけてくれて……。」



今思えば、ライちゃんらしいわ。と付け加えてクスッと嬉しそうに思い出し笑いをしながら、その頰からは涙が一筋落ちていた。



「リリーさん……それ以上は。」



いいですよ。自分を責めるほど優しさを感じて、そう言おうと思ったけど、涙を上品に拭いて話を続けた。



「今ならわかるわ。彼女はきっと、この未来を知っていた。

精霊量が減る原因の詳しくは、今はもう、ファライア様の娘でもあるファレリア様に直接聞かないと正確にはわからないけどね。

ライちゃんの話通りならフィーネちゃんの場合、精霊量が減る原因は間違いなく、水精様に自分のそれを吸収されているからよ。」