それでも歯車は回っていく2 〜王国滅亡編・上〜

私が心の中で謝ると、クスリと笑って話を続けた。



「それが、入学して半年である手紙が来たの。」



ゲキが……手紙?



「初めての精戦祭りの後くらいかしら。気になる子ができたって。

最初は本当に、ただ気になるだけだったのだと思うわ。同い年で、自分よりも上の存在。あの子が初めて、他人(だれか)に興味を示した瞬間だった。

だから、私はこう返したの。近くでその彼女を見ていたら?って。」



だからあの時、少しぎこちなさそうにだけど、一緒に帰ろうと言ったんだ。



当時の私は、プライドの高い貴族の坊ちゃんが、なんで私のような庶民を相手にするんだろうと思ったけど。



「毎日一緒に過ごして、自分に何が足りないのかを自分で感じ取って欲しかった。

けれど、そんな日々の中であの子は、ゲキは、私の期待以上のものを得てくれた。

あなたのおかげよ。フィーネちゃん。」



私の頭が、撫でられる。ユキナさんやファレリア様も、よくこうしてくれていた。



「相談することが正しいとは言わないわ。けど、相談することも、強さの一つよ。

だって、自分の弱さを誰かに打ち明ける勇気を持っているのだから。」



寝て居るのに、ごめんなさいね。と頭を撫でながら少し悲しそうに言うと、椅子から立ち上がった。



「それじゃあ、私は行くわね。」