それでも歯車は回っていく2 〜王国滅亡編・上〜

「ふふっ、やはりあなたも人間です。疲れて眠って居るのでしょうね。」



否。この人が、私のそれに気づかないわけがない。あのゲキの母親なのだから。それでもあえて気づかないふりをして居るのは、この人なりの優しさでもあるんだろう。



「血の繋がりはなくても、私の娘に変わりはないわ。正解は教えてあげられないけど、話すだけでも大分違うものよ。

数年前の、ゲキのように。」



その言葉に、少しだけ動揺した。さっき叩かれたことを思い出したのも、そのうちの一つ。



「寝て居ることだし、少し昔話でもしようかしら。」



明らかにわかっていながら、そう言って近くにあった椅子に座った。



「あの子は、ルーちゃんに似て……

というより、ルーちゃんが溺愛しすぎて連れ回したせいで、乱暴で、自己中心的な戦闘狂に。

表向きは優秀な希代でいい子だったけど、裏は人を見下して、半ば暴君。根性から腐っていたわ。」



言われたことを、素直に否定できない自分がいる……。ごめんねゲキ、間違ってないから。