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ここは…私が拾われた、孤児院から少しだけ離れた路地裏?



「まさか君が裏切るなんてね。失望したよユキ。」



顔はわからないけど、宙に浮いている男声。それはおじさんよりもお兄さんというのが正しかった。浮いているのは多分、風属性や重力系の術式で浮かせているのだろう。



「裏切ったとしても、失望されたとしても、私はこの子を守り抜くだけよ!」



ユキナさんに強く抱きしめられているのは…私だ。10歳だった私は、目の前で起きていることの全容がわかっていなかった。



「君はもっと優秀だったはずなのにな。本当に残念だけど、裏切り者には其れ相応の処罰が必要だ。

上級術式、地獄の業火(ヘル・ファイア・インフェルノ)」



「ぐぁっ!!」



私をかばっているせいか、攻撃をもろに受けてしまった。



「ユキナさん!!」



叫ぶことしかできない私にその男は楽しそうに言った。