それでも歯車は回っていく2 〜王国滅亡編・上〜

『ええ、そうね。私たちがこれ以上、ここにいる理由はないわ。』



「上級術式、風達(ふうたつ)」



危険を察知したカイラ兄様は、私ごと距離をとった。けど、お姉様から感じるこの感覚……まるで



ーまるで己(うぬ)と変わるようじゃとー



どうして今、水神様が喋りかけていられるのか謎だった。



「精戦祭りのような時でないと出られないのでは?」



ーそれは、そやつが引き寄せたのじゃ。
主(ぬし)の姉ファレリア、いや、ヴィルの王妃シュラ!!ー



シュラと呼ばれたお姉様は、クスッと笑いながら続けた。



『言ったはずですよネスト様。いえ、キラエル様。我々は着実に動いていると。』



キラエルは、精戦祭りで見たあの黒髪の子じゃないの…っと、とにかく、眼帯をしているものの、お姉様の瞳にはヴィルの紋章が浮かんでいるはず。つまり、今のお姉様はヴィルの王妃ということになる。



ー幾ら何でも、あやつがそんな呆け(ほうけ)をするとは思っとらなんだわー