「王女になってもフィーちゃんはフィーちゃんだったね。」



するとここぞとばかりにお姉様が言った。



「一年に一度の国境を越えた定例会である三カ国会議。ぜひ妹であるフィーを紹介したいものですがいかがでしょうかゲキさん。」



グイグイ迫っていくような、王女のかけらもなくなっていたこの熱弁には、さすがのゲキも顔が引きつっていた。



「決めるのは本人ですけどね…ただ、生き残っていたと言う事実を知らせるためにはそれが一番手っ取り早いかと。」



「と、言うことだけど、どうするの?フィー。」



こう言われて私は更に拒否ができなくなってしまった。



何せ、幼いときに悪魔(ヴィル)の襲来によってお母様共々命を落としたことになっていた私。



名目上は、水神様を狙ったヴィルから私を守っていたと言うことで通ったらしいけど、実際の姿はあまり知られていない。知らせていないと言うのが正しいのかもしれない。



「……はぁ。いやですといっても、当日の朝にアレクシア家に迎えにきて『行きますよ!』とかいって強引に連行されそうですしね。」



最初はためらったけど、結局行く羽目になるならとそう言った。