「うっ…っはぁ。」



時々聞こえる苦しそうな声と、顔に、両親がいることさえ忘れて駆け寄った。



「どう…して…。」



「マナは、貴方に憧れていたのよ。」



優しい目でそう教えてくれたのは、母親だった。



「何でも、兄に恥じない自分になりたいと言ってな。毎日勉学に励み、術式発動の練習をしていた。」



父の言うことで、なんとなく察しがついた。



「ラック。お前が今学園でやっているであろうことは、私にも分かる。私も昔、同じような時期があった。だが、それとこれは別だ。マナを見て、お前はどう思った?」



どう?学園で、特に何もせず遊びほうけて怒られていた自分とは違って、寝る間も惜しんで努力していた妹。


劣等感と同時に、敗北感と罪悪感に駆られた。



「私は…僕は、彼女に恥じない自分でありたい。です。」



そう言うと、マナの手は僕の手をしっかりと握っていた。



「まあ?及第点、と言ったところか?ならば、そこから学べ。そして今後の人生、足掻いていけ。マウ・ラック・クランとして。」



父から、名前を呼んでもらえたのは、いつぶりだっただろうか。



「はい…。」



知らぬ間に涙が流れていた。