「また、お会いする日までぇぇぇえ!!」



その声に、優しい顔で振り返って、二人は消えた。



「ヴィオラ!ヴィオラッ!!」



あっ、にぃの、声。一体どこから?



「さっき、俺は一人っ子だから、兄弟とかはわかんないかな?増して双子なら。って言ったよね?」



「うん。」



「でも、すごく大切にしてると思うよ。だって、そうじゃなきゃこんな必死な声でヴィオちゃんを探しには来ないから。話せばわかってくれるよ、きっと。」



ちゃんと…大切にしてくれてる…。話せば、わかって…。



「ん、わかった。にぃと、話す。」



「よし!じゃあ、せっかくの時間だったけどね、帰ろうか?待ってるから、次は学園で会おうね。」



そう言っておでこにキスをすると、路地裏を出て、私はにぃの声のする方へ、ウェイドは真逆へ向かった。



「ヴィ、オラ…。」



半泣きで駆け寄るにぃ。



「ごめんね、にぃ。心配、かけた、迷惑、かけた。」



にぃはゴシゴシと涙を拭いて一歩一歩近寄って、手を大きく振り上げて、私はグッと目を瞑った。



「えっ…。」



私を抱き寄せて…抱き寄せた。(?)



「馬鹿野郎!心配すんのは当たり前だ!それに、今までヴィオラのすることを、迷惑だなんて思ったことは一度もない!!」



に、にぃ…。



「ごめん、ね。ありがと。」



私も優しく抱き寄せた。



いつからだろうか。いつも隣で守ってくれていたはずのにぃが、こんなに大きくなっていたのは。


頭一つ分は違う背に、毎日鍛えているから硬い腕。


私、にぃのこと、知らないことだらけだ。



「その、なんだ…ライアン兄さんに許可は取ったっていうか…だから…今日だけは、一緒に城下をッ!?」



「にぃ!大好き!!」



知らないことは、今から知ればいい。



私を必要としてくれる人に、大切にしてくれる人たちに、



誇れる自分になりたいから。