どうやら、警備兵は国王様を探しているみたい。あんなに駆けつけるのが早かったのも、人手が多かったからだとか。でも、肝心の国王の顔を知らなければ、警備兵姿の国王様を見つけられない訳だ。



「そうかそうか!君も家を抜け出してきたのか!!」



君も、って、国王様…。大笑いしてる。



「いやぁ、公爵家のソルツァート、伯爵のギール。にも関らず、その椅子に甘んじることなく自分の足でこの地を見ている。君たちは、将来いい大人になるだろう。君たちのような子どもが将来を担ってくれることを、私は国王として嬉しく思うよ。」



私の頭を優しく撫でる。



「でも、私は悪い子。習い事をサボった。にぃを気絶させてきた。いい人には、なれない。」



一瞬驚いてから、立膝で私の目線になった。



「君は素直だ。今まで、言われたことをそのまま受け止めてきただろう?」



「うん。」



「だが大人とは、自分の損得を考え、金や権力で動く者たちがほとんどだ。そう考えると、悪いと思ったことを素直に認め、相手を重んじることのできる君たちは、この先のこの国に欠かすことのできない人材だと、私が保証しよう。」




国王様…。




「あっ、探しましたよ国王様。まったく、いつもいつも抜け出して。公にせず捜索する我々の身にもなってください。」




突然現れた、国王様とタメ口の人。多分、瞬間移動系の術式だと思う。




「流石ユーマ。私の居場所がわかるのは、毎度毎度お前だけだ。」



ユーマ…ってことは、この人がユーマ・ナイアード宰相。だと思う。



「お前だけだ!じゃありませ…彼らは?」



ようやく私たちに気づいたナイアード宰相。



「ウェイドです。」