それでも歯車は回っていく2 〜王国滅亡編・上〜

クラフィネイトといったら、この国の王。知らない人はいないはず。



「いや、伯爵以上でなければよっぽどのことがない限り、名前は知っていても顔は知らない人が多いんだよ。君のお兄さん、コクア君にはあったことがあるけどね。」



へえ…。



「警備兵!見つかったか?」



そう言って駆け寄ってくるのは、国王様より少しだけ質の良さそうな服の警備兵のおじさん。



「いえ、まだ…。」



そう答えた国王様は苦笑で答えた。



「そうか。引き続き頼むぞ。」



食い逃げ犯は捕まったはず。兵が探しているのは他に…



「どうされましたか?国王様。」



ウェイドが聞くと、冷や汗を掻きながら、



「ああ、ここでは何だし、そこへいいかい?」



と、路地裏に指を向けた。