それでも歯車は回っていく2 〜王国滅亡編・上〜

「へぇ、そんなことが…。」



「ほい!クレープ二つね!学割しといたから!毎度あり!!」



元気と気前のいいおばちゃんから受け取ったクレープを手に、さっきの話をしていた。



「ね、にぃ、意地悪。」



頬を膨らませると、ウェイドが目尻を緩めた。



「俺は一人っ子だから、兄弟とかはわかんないかな?増して双子なら。」



そ、そっか。ウェイド、兄弟いなかった。相談した、私が馬鹿だった。



「でも…。」



「食い逃げだって!!誰でもいいから、その男を捕まえて!!」



ほぼ同時に声の方を見ると、さっきのおばちゃんが叫んでいた。どうやらすぐ隣の飲食店で食い逃げが出たようだ。



「邪魔すんなよ!!!!」



人を押しのけながらこっちへ走ってきている。