それでも歯車は回っていく2 〜王国滅亡編・上〜

『精霊級術式、万能薬』



痣という痣が、光となってみるみる消えていく。



「あっ、ありが…。」



『其方も勘違いするな、よう精。礼は己ではない、こやつに言うんだな。』



あっ、また寝ちゃった。スズさんのお礼の途中だったのに。



「ほらほら、フィーちゃんは何も悪くないから、隣座って。」



そう言われて気づいた。私の体は今、水神様と入れ替わってぐったり横たわっている。王女の席にいない。さっき水神様は少し足を浮かせて前後に動かして歩いているように見せていた。だから、無詠唱で真似すればいい。



「(最上級術式、模倣(コピー))」



スゥー…。スタッ、スタッ、スタッ…。



ヒールが鳴る音まで再現できるなんて…。



「さてと、人は揃いました。スズさん、さっきのお話をして頂いたてもいいですか?」



お姉様の言葉に彼女は震える声でゆっくりと、悔しそうに言った。



「さっきの傷は、当主や、よう聖軍の四天王に付けられたものよ。それが厄介で、ちょっとやそっとの術式じゃ治らない。こうして、聖霊の頂点のお方でもない限りね。」



「どうして、そんな傷を付けられるような…?」



これはゲキ。



「これは昔から、よう精の中で起きていた対立。

生命に限りなく近い物質を生み出すか否か。

聖霊の中で上の立場にいる火精と水精を殺し、頂点に立つか否か。

他にも、挙げだしたら切りがない。

当主が進もうとする悪の考え全てに、あたしはこっそり、反抗してきた。密かに悪魔と交流をしていたわ。そこのファレリア王妃やシラクスを通じてね。」



クスッ、と微笑むお姉様。



「補足ですが、この前3か国会議で議案に出した件は悪魔が原因ではなく、よう精当主タクトが、魔女を生み出すために森の精霊力を奪っていたからなのよ。」