それでも歯車は回っていく2 〜王国滅亡編・上〜

『うじうじと!こやつだって、全知全能の万能人でないことをわからぬのか!?そもそも、己の力もホイホイ使えたものじゃないのだぞ!!』



一瞬で、この場が静かになってしまった。



「(まっ、まあまあ抑えて…)」



『フィル!お主はこんな状況で、抑えるもくそもあったものか!?そもそも、なぜ敵対するよう精の傷を、水神である己が治さねばならん!こやつに負担させてまで直すほど、己もお人好しではないぞ!!』



「種族とは、そんなにも大切ですか?」



ポツリ。と呟いたシオン先輩。を、睨んだ水神様。



『黙らんか人間。』



「他者を助けることに、理由が必要ですか?」



『黙れと言っておる!!』



「あなたがしていることは、フィルちゃんの為じゃない!自分自身の保身の為です!!」



『(ぐぬぅ…。)』



畳み掛けるシオン先輩に、押されている水神様。グッと握った手を緩めて、私に聞いた。



『(お主は、どうしたい?)』



「(私は、これ以上術式を使いたくはないです。術式を使えば、またどこかが動かなくなって早く死ぬ。その恐怖に襲われる。)」



『(ほら。のぅ?)』



「(ですが、どうせ早く消える命なら、誰かを救って消えたいです。)」



沈黙も、間もなかった。



『はぁ、其奴をこっちへよこせ。』



「えっ?」



『勘違いするでないぞ、人間。己は、こやつの意見を聞いてやるだけじゃ。人間やら、よう精やらのためではない。』



はぁ、これはツンデレとかではなく、本心から言っているみたい。元々よう精を毛嫌いしていた部分もあったみたいだけど。