「はぁ。僕がこんなにあっさり、やられるわけがないじゃないですか?」



「チッ、なら次を…。」



その瞬間、私は心臓辺りがチクッとしていた。



「いえいえ。その必要はないのですぅ。君たちがこれ以上危害を加えないのなら、今回は大人しく帰ってやるのですぅ。」



全拒否を食らったものの、水剣(アクア・ランス)はまだ稼働している。こちら側としては、やれないことはない。



「わかりました。」



強く、ポツリ。つぶやいたのは、隣にいるお姉様だった。



「ほぉ?悪魔がいただけあって、並の人間の思考よりは利口のようですよぉ。」



「お姉様!!」



まだ戦える。そう思って叫んだ。



「無理は禁物よ。まだ一日戦争が終わって一週間も経っていないの。貴方も相当の無理をしたわ。それに対してあちらは、一撃を打ってシラクスを射貫いただけ。ほぼ万全状態の彼を、倒せる確信はありますか?」



私の足が、崩れ落ちた。正確には、立てなくなるほどに、精霊力を使っていた。



「言わずもがな。ですね。」



「話し合いは終わったですぅ?」



私の目の前は、堂々と立つお姉様の背中だった。