それでも歯車は回っていく2 〜王国滅亡編・上〜

「3手目、精霊級術式、雷刃炎氷・風暗光水断(らいじんえんひょう、ふうあんこうすいだん)」



これは、全属性を持つ数少ない術式。雷が刃を持ったように標的を襲い燃やす。燃やし苦しむ隙に周囲を氷で覆い、風で細かくアイスピックの先のようにした後、全方位から攻撃。それまでに影縛りをし、目の光を奪い、水の中に顔を入れ呼吸困難にする。この術式のいいところは、炎舞水雷と違って、一つ崩れてもそれぞれが自動的にカバーし合うため、最後まで発動してくれること。本来、人に向けて使うモノではない。



「でしたっけ?」



『覚えがええのは、ファライア譲りかのう?』
この術式も、水神様に教えてもらっていた。



「精霊力付与(エンチャント)、強化!」



お姉様の協力もある。これで威力は、本来のこの術式の威力の2.5倍を軽く超える。



「何か、おかしい…。」



一歩も動かないタクトさんに、私はどこか違和感をもっていた。



『さあ、ここでその命、尽きるといいわ!!』



この時、あまりに有利すぎた状況は、水神様さえも油断させていた。こいつが、何年も人々を、神々を、騙し生き続ける悪魔(ようせい)であったことを忘れるほどに。













「絶・精霊級術式、全拒否(オール・キャンセル)」














爆風に飲まれた。



「「…!?」」



…と思いきや、エメラルドグリーンの障壁が、ポケットに手を入れたままの彼を護っていた。



『そうじゃった。これだから己は、こやつが嫌いなのじゃ。』