それまでで一番厳しい言い方をされた為か、ファライア様の必死さが伝わったのか。明らかに後者の二人は、背中を向けて走り出した。



「シュラ、私も、楽しかった。幸せだった…ありがとう。これからは、ファレリアを…よろしくね。

ああそれとネスト、フィーのこと、よろしくお願いします。」



必死に走る幼い二人には聞こえないくらいの呟き。



けれど、長年の付き合いがあった精霊たち(ふたり)には聞こえていた。



『ええ…。』



『ああ、必ず』



そう言うと、ファライア様は二人とは反対方向へと、一気に加速した。



それからフィル様の記憶は徐々に薄れ、記憶を全て失った(リセット)させられた。



ファレリア様によって拾われ、身元のわからない孤児とされたその少女は、あの人がいた、あの孤児院に、その日の夜預けられた。