それでも歯車は回っていく2 〜王国滅亡編・上〜

「とにかく、自分の将来を誰かに左右されてほしくなかったのよ。結局学園には私が招き入れてしまったようなモノでしたが。」



「あははぁ…。」



苦笑い。



「何にせよ、フィー。貴方は今、幸せですか？」



「えっ？まあ、今まで生きてきた中では？」



すると吹き出して笑っていた。



「あっ、いえっ、人生50年と言われる現代で半分も生きていない、私よりも年下のフィーが、いままで生きてきた中でとは。何というか？唐突に壺に入ったのですよ。」



その後も少しだけ笑っていて、収まったと思ったら、一呼吸置いた。



「にしても、あの方も警戒するとは。」



「ええ。やはり、思い過ごしではないということでしょうか。」



あの方。というのは特攻隊長。そのことも踏まえて、私たちはほぼ確信に近い状態でここに座っていた。



コンコン



「入ってください。」



お姉様の声で、私は無詠唱で扉を開けた。と同時に、水神様が結界を張った。



『精霊級結界術式、水剣（アクア・ランス）』



それは、私とお姉様を守る為の６本の剣の柱。敵が入ろう者なら容赦なく牙をむく結界術式。意識をしていないと、見えるはずはない。



「私が呼ばれた理由は何でしょうか？」



ある程度の距離を保つためにも、暗黙の了解ラインで立ち止まって傅いた。そのラインなら、この結界は作動しない。あくまで、アウトラインに立ち入ったときのため。