それでも歯車は回っていく2 〜王国滅亡編・上〜

「あいつは、なんか嫌な予感がするのだ。老いぼれの考えすぎならいいんじゃが。人並み外れた力を見せることが過去に何度かあってのう。それに、現王妃様も信用する君なら、確実に安パイだ。」



「安パイ?」



「元は麻雀用語でね。安全牌の略だよ。ふぉっふぉ。前国王様には、当時誰も敵わんかったはずだ。」



「あっ、これは老人によくある、話し出したら止まらないパターンかも。」



オウナさんに、こそっと耳打ちされた。



「すっ、すみません。ファレリア様から呼び出しをされているので、今日はこれで。」



「ああ。関係ない話に引き止めかけたわ。すまんなぁ。まあなんにせよ。宜しく頼むぞ。フィーネ・アルマイラ新特攻隊隊長。それと、副隊長のオウナちゃん。」



ソファーから立ち上がって、きちんと部屋から出た。



「また会いにきますね。失礼します。」



「失礼しました。」



バタン!



「王家の判子の場所があるわね…。」



悩むオウナさん。あっ、もしかしたら、私がフィルってことを知らないのかもしれない。



「これから王接間行く用事もあるので、ついでに行ってきましょうか?」



「ほんとに!?じゃあ、お任せしてもいいかしら?」



「はい!」



「私はあの人のところへ行くわ。またね!」



「はい。また今度、ゆっくりお願いします。」



瞬間移動術式…。しかも無詠唱。



「さすが、オウナさんだ。」



私は王接間の隣の準備室へと瞬間移動した。
















「また。か…さて。部屋の中に無断で入り込み、挙句盗み聞きをするとは。どこのどいつだか?のう。


















タクト。」