それでも歯車は回っていく2 〜王国滅亡編・上〜

「失礼します。お久しぶりです、隊長…フィ、フィーネちゃん!?」



窓から吹く風で靡く黒髪に、優しい顔。あの頃と、全然変わっていない。



「オウナ…さん?」



「本当に、フィーネちゃん?」



「ユキナさん、アスレイお姉ちゃん…。」



指折り数えていた瞬間だった。



「きゃー!随分綺麗になったじゃない!?」



ソファー越しに抱きつかれた。



「おろ?なんじゃ、知り合いか?」



「あはは。まあ?同じ孤児院の出で。」



「なら話は早い。が、一応。特攻隊副隊長兼フィーネちゃんの補佐に、オウナ・ハーツちゃんじゃ。二人で今日から、特攻隊隊長と副隊長を頼むぞ。」



私の隣、隊長の斜め前に座ったオウナさん。



「育児休暇ってことで、ここ二年半くらいお休みを頂いてね、一人にしても泣かなくなったから、家の人に頼んで預かってもらっているの。」



オウナさんに、子どもが…。



「ほっほ。にしてもオウナちゃん、すっかり母の顔じゃのう。」



「そうですかね?まだまだ学ぶことばかりですよ。」



談笑する姿は、昔より柔らかくなっている気がした。