「さすが、私の最終兵器。」



よくやったと笑って口を動かした。



『聞かなくても、わかると言ったはずですから。

それとライちゃん、今でありがとう。私は、楽しかったわよ。』



これでもかと満面の笑みを向けて、ファレリア様の瞳から、ヴィルの紋章は消えた。



「「お母様!!」」



先まで足がすくんで動けなかったフィル様と、シュラに体を預けていたファレリア様は、倒れたファライア様の元へ走った。



「来ちゃ…ダメ!!」



けれど、最後の願いを叶えていないファライア様は、唯一動く右腕を背中からスッと一払いして、コウモリのような羽を広げ、ゆっくり上昇していった。その動きから、精霊力が残りわずかなことは一目瞭然だった



「あなた、達は…一旦城下外へ、避難しなさい。…フィーは、すぐに記憶がなくなると思う、から、王宮を抜け出して、城下外に行っていたファレリア(あなた)の、信頼できる人に預けて下さい。

何度も抜け出すということは、よほど信頼できる人だということでしょう。」



一瞬、バレてしまっていたか…という顔をしたファレリア様。動きたくないという顔だったフィル様。



「いきなさい!早く!!」