「初級術式、風雷(ふうらい)」



パチッと音がすると、オルゴールに姿が変わりそのネジを巻いた。



『これを聞いていると言うことは、優しい君のことだ。

我らの身を案じつつも、これからを決める岐路に立っていることだろう。』



「どうしてシラクスの声が聞こえるのですか!?」



服の内ポケットから取り出したキューブ型術具、オルゴールから聞こえてくるその声に、ファレリアの目は明らかに動揺していた。



『コレは生前、私がカイラに預けておいた。』



「正確には、私室に置き手紙を置いて有無を言わせず押し付けたと言うのですがね。」



『コレは、私からの最後の言葉(メッセージ)だ。




















抵抗を試みたものの悪魔の王と悪魔の女王の力は強大で、二人の下操られてしまった。

君は操られながらも国民を思う一心でフィルと戦い弱った隙を狙ってそれを解除。

悪魔敗北の為に大いに活躍をした。』



その術具音(こえ)にカイラは顔を背け、ファレリアは硬直していた。



「何を言っているの…シラクス…。わたしは、貴族会のような考えを持ちたくない…。」



『元々人気と人望があった君なら、元の地位に再び立つことは容易いだろう。』



「だから!私はそんなこと!!」