泣き止めないお姉様に、立膝の兄様は無言で抱きしめた。それでも、涙が枯れる頃には王宮にいたという。




「貴族会会則第16条。会長不在の場合は、副会長が執り仕切る事とする。ファレリア・アス・クラフィネイト元第一王女様。国への反逆罪の疑いで、ご同行を願います。」




その言葉に、連れて行ったのがお兄様とはいえ、抵抗する事なく応じたという。




「私は、軍に勝利を報告しますのでこれで。今回の話は、またの機会に。

最上級術式、物質変換。」




ブランは赤く透き通る翼を創って去って行った。




「にしても、よくやってくれた。タクト。今回は、お前の手柄だ。」




「そんなことはないですよ。体力を減らして、あの状況に持ち込んでくれたことが、一番の要因です。ですから…。」




「じゃあ、ふたりともよくやったってことで解決~。」




特攻隊も、和やかな雰囲気だった。