『どうして、一思いに殺さなかったの…例えそれが水神だとして、屈辱以外の何者でもない。』



第一声から威勢がいいのは、昔から変わらんなぁ。と言って続けた。



「『もう呼んではくれぬのだな。シュラよ。』」



はぁ。と、ため息をついて、こう言った。



『お姉ちゃん。』



そう。これが謎なんだ。水精と悪魔。にも関わらず、シラクスを含め水神様を姉と呼ぶ。



『その昔、私たち精霊は人間だった。当時では、王女と言う以外はごくありふれた人間だったの。信じられないでしょう?』



きっと、水神様に体を貸している私に言ったんだろうな。



『ふふっ。人間だった頃、実際に血の繋がっていたのは両親と、エルお姉ちゃんだけよ。シラクスは、私の夫なの。私たちは王家。シラクスは一般人だったけど、立場なんて気にしなかった。本当に、心の底から愛した人。』



昔は、今よりも政略結婚が酷かった時代。そんな中で立場を気にせずとなると、よほど苦労したんだろうな。



『それと!私は元々シュラ・コネスト。お姉ちゃんはエル・コネスト。キラエルと名乗るのは人だった頃、喧嘩でもしようものなら男の子でも泣かせる鬼の形相でね。殺人鬼じゃないかとまで言われて、キラー・エル・コネストって呼ばれてたからなのよ。』



「『よせ!こやつに昔の話をするな!?』」



『ふふふっ。それと、神っぽい口調ごっこって昔やってね?じゃ。とか?おぬし。とか?そのまま使ってて、吹き出してお腹を抱えて笑おうかと思ったわ。』



にしても、水神様の話をするシュラの声色はとても嬉しそうで、自分のことを自慢するかのように語った。