「…はぁ、いいでしょう。私の扱える術式は、全てではありません。そしてそれは、模倣(コピー)と言います。ゲキさ…ゲキの弟、ザンさんのそれと同類です。」



この戦いで、その考えも濃厚になっていたけど、まさか本当にそうだったとは……。



「『じゃが何故、隠しておったのじゃ?自分は模倣(コピー)の使い手だと言えば、それで済んだであろう。』」



「確かに、貴方の仰る通りかもしれません。しかし、言い出したのは周囲の人間です。私は一国の王女。皆の期待を裏切りたくはなかった。…いえ、怖かった。年が経てば経つ程、嘘つきのレッテルを貼られ、国中の晒し者にされるのが。それ以上に姉として、妹と比べられたくなかった。」



光のない瞳でも、動かない体でも、熱は十分に伝わってきた。



「『よし、これでおぬしの聞きたいことは聞けた。もう一つ汝に問いたい。』」



そう。これは、私が聞きたかったことの一つで、お姉様は察していた。だから一旦目を閉じて、開いた。



『何かしら。水神様?』



水神様の絶・精霊級術式の代償は、魂。悪魔の女王の魂を犠牲に、絶・精霊級術式をかけた。けど、今こうして残っているということは、



「『よかった…。』」



多分、成功ということだろう。



魂と一括りにしても、正確には寿命だそうで、数時間ぶんの寿命は取っておいてもらえた。だから、私も水神様も安心した。