それでも歯車は回っていく2 〜王国滅亡編・上〜

「先に言っておくが、最初、この世界に精霊や術式なんてものはなかった。」



その言葉に、この場の殆どが驚いた。それが当たり前の今、それがない世界などあり得ないからだ。



「じゃあまず身近な術式の方からだ。

ある一人の女児が生まれたすぐ後で、なんらかの因果が崩れたんだろう。血で武器を創り出し、この重力下ではあり得ない動きを見せる者が現れたと言う。

今で言う最上級術式は、数年かけてやっと発動するような代物だったそうだ。

そしてその時の名称は魔法だった。『魔』女と呼ばれた者が創り出したとされる『法』則からね。が、ある者がこう言った。『これは、人が織り成す、芸術的な式である。』と。

そこが術式の原点だ。そしてその女児であり魔女が私の母親、オーロ・ルーター。術式の命名者が、父のハク・ルーター。」



「なんですか…それ…。じゃあッ!!」



「今は人間に説明している!部外者は黙っていてもらおう。」



タクトの声は、威圧するシラクスの前では無力だった。



「大丈夫。気にしないでくださいタクトさん。気になったことはちゃんと口にしないと、我々でも気付けませんから。続けてください、フォーゼス。」



こんな時でも、ブランは一国王としての風格を見せた。



「はぁ。では、次に精霊。ここで君たちに想像してもらおうか。精霊とは、何か?」


精霊とは。様々な回答があるだろう。



単純に、人ではない。それも然り。



術式の源。それもまた然り。



或いはそれを、神。と呼ぶ。