パンッ!パンッ!パンッ!



一つが、右の二の腕を服越しに掠った。



「ちッ。」



正確に言えば、全3発中2発は幻聴と幻影の無詠唱で、それに混ぜた神具の実弾1発が当たったということ。



「こうして悪魔というだけで敵対されて、侮蔑されることのない理想郷を作るんだ。けどまあ、話し合いでなんとかできるものでもないからね。見ての通り、実力行使さ。」



「一応、ヴィーナス王国貴族会副会長様が直々に聞いてやるよ。話し合いという選択肢は?」



「───論外。一切ないね。」



パンッパンッパンッパンッパンッ!!



実弾は2つ。あとは術式。だが、



「それと、君たちは考えが甘い。犠牲なしの平和など、あるわけがないんだ。」



実弾の二つだけが綺麗に指の間に捕らえられて、パラパラと音を立てて粉々になった。



「てめえらみてぇな悪を数えなければ、犠牲なんてねぇ平和ってことになんだよ。」



その一言で、今まで冷静に煽ってきていたシラクスが壊れた。



「私たちが悪だと。君は何を以って判断した!悪魔だからか?そう言われてきたからか!!」



すると、地面を蹴って思い切り突進してきた。