それでも歯車は回っていく2 〜王国滅亡編・上〜

「あ"ぁぁああああ!!!!!!」



『替わるぞフィル!!』



有無を言わせずだった。知らぬ間に入れ替わっていた。そうでもなければ、水神の翼といえど闇の覇気で飛ばされた。



ある程度まで離れて、範囲外に出ると水神様は、あの術式の発動準備をしていた。けど、



「(なん、ですか…あのお姉様……。)」



目には紫色の悪魔の紋章。それだけじゃない。身体中にある、赤く、蛇が巻きついたような模様。決して見たことがないわけじゃない。間違いない。あの時と同じ。



『悪魔の術式。その代償じゃろうのぅ。だから、もう終わりにするのじゃ。』



私の体を使って、チャクラムの核を探しながら水神様がそう言った。



『悪魔の生み出す術式は階級関係なく、必ず人間の一部を代償として必要とする。ファライア並みによく耐えたぞ。あやつは。』



けどあんなに一気に広がるものなのだろうか。お母様は、最後は無茶な術式稼働をしていたからだろうからまだしも、お姉様がそんなことをしたようには見えない。



『どうせ、ツケでもしておったのじゃ。今までの小さな積み重ねが、いまになってきたくらいのことじゃろう?すまぬが、己にも人を器にした精霊の離脱方法は分からぬ。下手に手を出さぬ方がええて。』



つまり、落ち着くまでは放置すると……。やっぱり、精霊に関することには謎が多すぎる。この戦いが終わったら、改めて話を聞いた方がいいかもしれない。