それでも歯車は回っていく2 〜王国滅亡編・上〜

「よく聞いてちょうだい二人とも。」



ファライア様は二人の身長(せ)に合わせて立膝になって、動揺したままの二人を抱き寄せて言った。



「私は、愛を知らなかった。けれど、私の目の前にはローが現れて、あなた達が生まれてきてくれて……これほど嬉しことはなかったわ。」



ファライア様はより一層抱きしめる腕を震えさせながら苦しくない程度に強くして続けた。



「ファレリア、フィー、あなた達はこの先普通ではない困難が待ち受けていることとなりそうなの。けれど、そのときに私はいてあげられそうにもない。

だから、せめて二人が、ちゃんと自分なりの幸せを見つけてくれるその日まで、私がやるべきだった役割へのせめてもの償いをするわ。」



「この国に厄災を、犠牲となれ悪魔ども!!

聖霊級結界術式、悪魔の宴!!(ヴィル・カーニバル)

今日この日、ヴィーナスはようやく僕らの物になるんだ!!」



聖霊級術式には基本的に数分のタイムラグがある。さらに国中を覆うほどの結界術式ということも考慮すると約五分は発動しないだろう。



つまり、今回は五分以内に術者を倒せば術式は自然消滅する。増して、五分間は重複術式になる為、応戦しようにも術者がよほどの実力者でないとそれはできない。



ウェルティフルを含めどの学習機関の選択授業では習えるものの、そういった欠点をも多くあまり実用化はされていない。



ただ、仮にも発動したなら、時のその威力は侮れない。