それでも歯車は回っていく2 〜王国滅亡編・上〜

『皆さん失礼します』



そして、ピアス型の通信術具から聞こえてきたのは、タクトの声だった。



『こちらには、ヴィルの王と王妃が来ました。交戦を開始します。』



「了解。私もそちらへ行きます。」



本来なら自軍の指揮を執るはずだが、多分思い通りにはいかないだろうということは明白。だったら、あらかたの指示を出しておいて、一刻も早く敵の頭を取りに行く。



「合図きたよ、兄さん。殺っちゃっていいかなぁ?」



「ああ、好きなだけ──遊んでやれ。」



ザザザザザッ!!!!



悲鳴をあげる間も無く兵士が数十人、百人近くやられた。たった一人に、数十人もだ。



「魅せられて、カワる。

上級術式、物質変換。」



キンキンキン!!



とっさに作り出した、作ってしまった壁で、先ほどまでの鎖の攻撃を全部無効化した。



「ちぇっ、つまんないのぉー!」



鎖をくるくると振り回す弟を見て、指揮代理を見て、頷いたのを確認して、

「私は、悪魔討伐に行って来る。この場を任せるぞ。」



バサッと言う音を立てて後ろを向いた。



「はっ、必ずや悪魔を倒し、我が国に帰還しましょう!!」



指揮代理がそう言うと地面の砂を一握り。そして、