それでも歯車は回っていく2 〜王国滅亡編・上〜

『我が敬愛する全ヴィーナス軍人よ。』



当初の予定通りの宣言を言うだけ。最初はそのつもりだった。



「ラナフレム軍人よ、今一度言おう。我々に戦う意義は、国民を守り、世界平和を守ること!」



だが今となってはそんな宣誓などは建前だ。

愛する家族のために、ラナフラムを裏切ったと言っても過言ではない悪魔に、やられたまま黙っているつもりはないという、強い意志。



『元仲間と戦うかもしれない、情に流されそうになるかもしれない。それでも、我々が立ち止まることはできない。』



フォーゼスと戦うのかもしれない。少なくとも、ラナフレムのために頭をひねる日々を彼と過ごしたことに、変わりはない。そう、それでも立ち止まれない。



「今までと、これからを分かち合う仲間のため、未来を生きる者たちのため、自分自身のため!」



過去を振り返らず、大切な人を守ると決めたから。朝に流れた涙の意味を知っているから。



「『瞬間(トキ)は来たれり!!さあ行け、兵士(ナカマ)たちよ。」』



『ヴィーナスの』



「ラナフレムの」



「『誇りを胸にッ!!!」』



これは、これだけは、必ず勝たなければいけない勝負!!



ドンッ!ドンッ!!ドーン!!!!



ヴィーナスが開発した、自爆プログラム付き無線拡声装置。これの凄いところは、精霊力を一切必要としないところ。こういった技術には、本当に感心していた。