それでも歯車は回っていく2 〜王国滅亡編・上〜

「我が敬愛する全ヴィーナス軍人よ。」



あの時と同じ、山に響くような声。



『ラナフレム軍人よ、今一度言おう。我々に戦う意義は、国民を守り、世界平和を守ること!』



機材から聞こえてきたのは、ブランさんの声。予定通り、ラナフレム陣営で言っているはず。



「元仲間と戦うかもしれない、情に流されそうになるかもしれない。それでも、我々が立ち止まることはできない。」



ねえゲキ。やっぱり私は不安まみれで、こうして手が震えてるよ。でもね、何度も心配してくれるゲキたちがいてくれるから、大丈夫。私は一人じゃないんだってあなたに教わったから。



『今までと、これからを分かち合う仲間のため、未来を生きる者たちのため、自分自身のため!』



「『瞬間(トキ)は来たれり!!さあ行け、兵士(ナカマ)たちよ。」』



私に、死なないでって言ってくれるあなたが生きていてくれるから。



「ヴィーナスの」


第一王女のフィル・アス・ライナ・クラフィネイトとして、


『ラナフレムの』


ヴィーナスの特攻隊の一人、フィーネ・アルマイラとして


私はもう、迷ったりしない!!



「『誇りを胸にッ!!!」』



──ありがとう、愛してるよ……ゲキ。



「さあ、宣誓が済んだであろうことを確認したからね。好きなだけ暴れていいよ!一片の悔いも残すことは──許さないけどね。」



トーンの落ちた声とともに、一気に詰められた距離。

















「掛かった。」