それでも歯車は回っていく2 〜王国滅亡編・上〜

『恐れられる』本来の存在は、『水神と火精』では対処しきれないときに『最終兵器』として使われる、私の中にいた『悪魔』だったと。」



「まさか!?」



この意味を瞬間に理解できたらしい、頭の切れるであろうリーダーは、想定外だったと言わんばかりの顔だった。



「私は水神、火精、そしてヴィルという、三種類を持って生まれたのです。

確かに、あなた方の経験から生まれた予測は間違っていません。しかし、予測とはそれまでの事実を基にした仮説でしかないのです。

証拠に、今回のように三種類を持って生まれた者が二人しか生まなかった時のことを、あなた方は考えることができなかった。違いますか?」



欠点を堂々と指摘されて、リーダーは子供のように笑った。狂ったように笑った。笑い転げる勢いで笑っていた。



「はぁ…人間に一杯食わされたのですよ。いや、人間と三種の精霊に、ですね。」



笑いすぎて涙を拭いていたほどだ。



「けど、僕らには関係ないのです!

誰に受け継がれていたとしても、全員から頂ければ、せめて水神だけでも頂ければ、当初の予定に狂いは生じないのだから!!」



狂気じみた顔のリーダーは、翼を使って一瞬で空中に浮き、右手を夜空に向けて詠唱をし始めた。