それでも歯車は回っていく2 〜王国滅亡編・上〜

「ルドガー、隊の皆の元へ行きなさい。ここは私が、なんとかしますから。」



あの話を王家の人間以外に話すことにはまだ抵抗がある為、ファレリア様を送ってきてくれたルドガーさんを返すと言う意味でもそう指示を出した。



「くれぐれも、お気をつけて。」


王妃の、戦争に出れば負けなしという偉大なに言われ、恐怖よりも信頼をして、その場を走って後にした。



「さてさてさぁて。せっかくですし、少し面白いお話をしてあげるよ。

水神だけを身に宿して生まれた者には宿命があるんだよね〜。

それは、この世界という名の歯車の要となること。

昔は数十年おきに行われたそれもここ数百年では行われてはいなかったんですけどねぇ。水精が人に宿った時点で今世紀で行われることは確定だと思ったのです。」



水精を持つ者が、世界の要……どういうことなのか、私には分からなかった。いや、心当たりはあったけど、そんなわけないとすぐにその考えは捨てた。



「精霊を二つ以上持った、あなたと同じような存在が過去にも何度かいて、要への条件達成の有無に関わらず精霊達はほぼ100%、子供へ乗り移ったという事実を僕は目の当たりにして今日来ているのですよ〜。

また儀式を行ってしまう前に。」



淡々と説明していく幼い容姿のリーダーに、ファライア様は、おかしいものを聞いているかのようにクスリと笑った。



「残念ですが、あなた方はそのような勘違いをしたまま数十年、数百年を生きてしまったようですね。」



期待する敵の目とは裏腹に、ファライア様は貶すように呆れていた。いや、見方によっては馬鹿にしていたとも取れた。



「何がおかしいんでしょうかねぇ。」



その態度に腹が立ったのか、リーダーの悪魔は先程からの子供声をやめて圧をかけて言った。しかし、それに動じることなくファライア様は落ち着いてこう言った。



「ラナフレムで生まれ、悪魔と恐れられた水精と火精を宿す最終兵器。というのが、私に向けられる一般的な感覚ですね。では、こうならどうでしょうか?