それでも歯車は回っていく2 〜王国滅亡編・上〜

「精霊量はずば抜けていて、術式は使い放題。加えて水神様がいる。

現代において寿命が短いのは、術式の使用によって体が脆くなるから。

まさに、私が早死にするための世界みたいじゃない?」



引き金を引く速度が、遅くなった。



「ゲキが心配してくれるのもわかる。私のことを考えて怒ってくれたのも。だけど、」



「もういいよ。」



ゲキが抱きしめてくれたその後ろの射撃台では、氷銃がキラキラと消えていた。



「ゲ、キ……?」



「ああ、俺はフィーちゃんに生きててほしい。例え嫌われても、国中が敵になっても、世界が無くなっても、それでもフィーちゃんにだけは、生きていてほしい……。」



これほどまでにゲキが泣いたところを、私は見たことがあっただろうか。そもそも、ゲキが泣いたことなんて、人生で一度でもあったのだろうか。



「うん。私も同じくらい、ゲキに生きててほしいよ。」



私は、ゲキの背中を撫でていた。普段は背が大きなゲキの背はこんなにも、小さかったんだね。



「でも、やっぱり私はみんな守りたい。王女になった以上国民を始め、先生や先輩方、後輩や家族。そして、ゲキ。

決して命を無駄にしようと思っているわけじゃないの。」