それでも歯車は回っていく2 〜王国滅亡編・上〜

「はぁ〜。全く、待ちくたびれたのですよぉ〜。」



こうして話していることから彼が敵のリーダ的存在なのだろう。



透き通った紫色の羽を背中に纏った人間の子供と同じ容姿だけど白い肌。自分も燃えるかもしれない中躊躇することもなく火をつけたことから、彼もまたヴィルなのだろうか。



「今更私に、私たちに、何か用ですか?」



ファライア様の柔らかい声質とは裏腹に、あからさまに邪気に扱っているのがわかった。



「いえいえ、僕らが欲しいのはあなた方の中にいる水精、火精なんですよぉ〜。あっ、でも水精の方は水神っていうべきかなあ。」



水神!?私の中にいたというコネスト様も水神様と言っていた……と驚いても、私はどうやらこの記憶(せかい)に干渉はできないようで、敵のリーダーは羽を使ってゆっくり降り、両手を上にあげてひらひらと手を振ってヘラヘラとした顔で話しかけてきた。



「 お母様!何があったのですか!!」



走ってきたのは、ファレリア様だった。呼びに行ったルドガーさんは、その後ろを警戒しながら走っていた。



「ちょうどいいところに来たのですよ。姉に眠る火精と、妹に眠る水神を頂きに来たのです。」



そう言って、姉のファレリア様と妹のフィル様へ順に指を向けると、フィル様は一歩脚を引いた。