それでも歯車は回っていく2 〜王国滅亡編・上〜

「お母様?」



落ち着かなくなってしまった雰囲気に、何が起きているか分からないフィル様。それでも、王妃様の右手にチョコンと触れると、ハッとして冷静に指示を出した。



「状況はわかりました。ローがいない今、代わりに私が指示を出します。ファレリアを門へ連れてきてください。私たちは、先に門へ向かいます。」



「承知しました。」



ルドガーさんは指示を聞いてから、部屋を飛び出して行った。



「私たちも行きましょう、フィー。」



できるだけ、いつもと同じ雰囲気を演じながら、二人は門へ向かった。



この時は気づいていなかったんだろうな。どうして、この人の握る手が震えていたかなんて。



大人と子供では、少しずれてしまうはずの足が、隣にいてくれたかなんて……。