「我が名はッ!!」


山に向かって叫んだかのように、大きく響き渡る私の声。


「我が名はフィーネ・アルマイラ。この学園を首席で卒業し、特攻隊入隊も果たした。だが、私は、決して孤児ではない。」



立ち上がった私がゲキとシオン先輩に目配せをすると、勘違いでもなくちゃんと響いているらしい。



「それが、幼くして命を絶ったという誤報を流さざるを得なかったヴィーナス王国第2王女、フィル・アス・クラフィネイトであるということだ。」



今校舎に行けば、それはもうざわざわしているんだろうな。城下に降りれば、沢山の人に囲まれるんだろうな。



けど、その名を背負う今は、ごめんなさいと思うと共に、プレッシャーがある。



「(国民に、罪滅ぼしの一つもできんとは、死んでも死にきれんがな……。)」



「今日この時を以って、国民への復帰宣言をし、第一王女を担うものとする。尚、第一王女のファレリア様は現在病気で、治るまでは表に立たれることはないだろう。」



いいんだ。いいんだ、これでッ……。



「復帰されるまで、その証であるライナの名を名乗るものとする。」



そう言うと、お父様はもう目を閉じて、安らかな顔をしていた。



「新、第一王女。フィル・アス・ライナ・クラフィネイトッ!!」