それでも歯車は回っていく2 〜王国滅亡編・上〜

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「すまん、ユーマ。どうやら私たちの死に場はここらしい。」



背中で語る。それはまさしくこのことなんだろうと、ユーマは思った。



「全く、他人(ひと)に命をかけろがすまんとはな。」



「悪いな。孫の顔も見れんまま。」



謝る一方の王に、友人に、かけてもらいたい言葉は、全く違うものだった。



「そんなことはいい。他に言うことはないのか?」



その言葉でハッとしたわけではないが、目を閉じて、深呼吸をして、言った──



「──ありがとう。」



今までと、今日この瞬間に。



「本当はそれを、私が言うべきなだがな。

もともと孤児の私に目をつけナイアードの養子にするよう掛け合い、現在ではお前の補佐で王宮責任者(お前)の代理。だから、もし死ねと言われたら死ぬ覚悟はできていた。

それがまさか、未来のために共に果ててくれだなんて、これほど嬉しいことはない。」



目尻から溢れる涙は怖さや辛さではなかった──嬉しかった。



「ではやろうか、我が親愛なる友よ。」



此方もまた、嬉しかった。死ぬ瞬間さえ、友と共に、誰かのためになることが。



「ああ。持ってけ、老いぼれの魂。」



「後世に託そうか、我らの魂!」



「「せっかくの大見せ場、目にもの見せてくれようぞ!!」」