それでも歯車は回っていく2 〜王国滅亡編・上〜

「失礼いたします!!」



ノックも無しに入ってきたのは、当時聖騎士副隊長だったルドガーさんだった。なんだかゲキに似てるし、やっぱりまだ若いなぁ…じゃ、なくて!!



「何が起きたのですか、簡潔に言ってください。」



さっきまでの穏やかな雰囲気は一変、周囲が固まりそうなくらいの冷静な殺気が空間に広がった。



「はっ。聖軍と自称する12人の敵が月詠の門に現れました。なんでも、王妃様、並びに第一第二王女様方にのみ用があるそうで、軍並びに騎士隊は今連れて来いと暴れる奴らの足止めで精一杯です。

このままでは、この国ごとやられるのは時間の問題です。」



その瞬間、外は大きな爆発音と共に火の手が上がった。恐らく、その聖軍とやらの仕業だろう。



「どこまで私を…私たちを……。」



国王のトウロォーが特攻隊と共に他国へ行っている今、傅いて指示を仰ぐ内容に、今起きているこの惨状に、気がつけないほど気が緩んでしまっていた自分に、気づけばファライア様は右手を、血がでそうなほど強く握りしめていた。