それでも歯車は回っていく2 〜王国滅亡編・上〜

暗くなるトーンと表情に、もういいよ。そう言いたかったけど、震える拳と声を思うと、口を挟めなかった。



「私が行(おこな)っているのは、多少の補強でしかない。あくまでこの術式の根本(ベース)は、あの方のものだ。」



するとすぐさまこれ見よがしに、悪魔の王は口を開いた。



「と、いうことらしい。先代の力を借りないと誰も守れないだなんて、増してそれが国王なんて、大層出来損じゃないかな?」



何も言い返せない国王。でもの顔は、すぐに消え去った。



「お前は、こいつの何を知っている!父親と比べられて?他者と比べられて、それでも次期国王かと罵られ?お前がこいつの、何を知ってそれを言っている!」



あの冷静そうだったユーマさんが、感情的になったところを、私は初めて見た。勿論、フィルとして王宮にいた幼少期の記憶にもない。



「トウロォーもトウロォーだ。才能がないと言われながらも、自分なりに思考錯誤して?不可能だと言われたこの学園にも入って?お前には超えられないと言われていた先代が存命中に国王になって?挙句他国の通称悪魔を嫁にしたいと言い出す始末。

これだけ色々やってきて、自分は出来損ないですと言うつもりか?」