それでも歯車は回っていく2 〜王国滅亡編・上〜

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「フィーちゃん!!」



「ゲ、ゲキ……。」



ゆっくり体を起こすと、ゲキは私の背中をさすっていた。



「ファレリア様…今のは一体……。」



王座からゆっくり歩いて来るファレリア様は、今まで見た中で一番、王女の風格があった。



「今のは、私が編み出したオリジナルの術式です。試作がてら運用させてもらいました。」



「幾ら王女でも、許されることとそうでないことがあります!!」



ゲキは、私を心配してそう叫んでいた。



「例え許されなくても、フィーのためならなんだってするわ。」



落ち着いたファレリア様に、ゲキはなんて思っているんだろう…。



「さて、これはフィー、あなたに聞くわ。

今のような辛い過去を思い出せる?あなたがあなたでいられなくなっても、後悔しない?」



私は、学生の時に自分じゃなくなることを考えたことがあった。けど、そんなのは全然平気。

ゲキが、隣で支えてくれるだろうから。だから、私は今、私にできることをしたい!



「後悔なんて、しないです。」



ゲキは目を見開き、ファレリア様は合格と言わんばかりに満足そうな顔をしていた。



「じゃあ今の続きを、さらに過去へ遡らせるわね。

古代術式、記憶の復元(メモリー・レストレイション)」