それでも歯車は回っていく2 〜王国滅亡編・上〜

「はぁ!!!フレア先輩!ザン先輩!」



四方八方から近寄ってくる兵にマナは杖の打撃とヴィオラの結界術式で強化された覇気だけで対抗していた。



「暗刃3波!!……精霊級術式、暗刃乱舞!!」



「任せて!ふっ…てやぁ!!風刃起動!!
はぁあ!!」



完全には撃破できないものの、一度見えなくなるほど粉々にすれば40秒くらいは復活してこないことを、開始直後それぞれが一撃の手応えで悟っていた。



「どう、するの?にぃ。」



ポツリポツリと喋るおとなしい妹のヴィオラは戦況を見つつ、前線に出ることなく精霊力付与を的確に行なっていた。



「そんなの、決まってるだろ!!

薔薇の花園へ足を踏み入れし愚か者どもよ。
女王の前に立つとは愚かなり。後悔させやろう。

上級術式、薔薇の鎖(チェーン・ローズ)」



コクアが結界内に入った兵を薔薇で拘束



「アリアさん!!」



「任せてください。

邪信邪念を振り払い、我らに勝利をもたらさん。

上級術式、氷の風・雷の風(アイスウィンド・サンダ・ウィンド)」



アリサが拘束したそれらを扇子の風で凍らせて雷で燃やすという連携で、2人がすごく楽しそうに倒していた。



「私も、にぃの活躍、嬉しい、楽しい。」



ナルとウェイドのコンビもそれなりの戦果を挙げていた。



「最上級術式、広範囲重力負荷(グラヴィティ・ロード)」



何十倍にも重くした重力をある程度の範囲に張ることで、兵士は動けなかった。



「ったく。無詠唱の奴らは楽でいいねぇ!
火精よ、我に力を与えたまえ。

中級術式、火の玉(ファイア・ボム)」



動けなくなった兵士に向けて確実に火の玉を当てた。



「いいじゃないですか。美味しいとこは持って行ってるんですから。

それに、やろうと思えば先輩だって可能ですよね?無詠唱。」



術式を解除しながらナルは言った。



「っとけよ。無詠唱は精霊力の消費がハンパないとか、こっちだって色々あんだから!
そんじゃまあ、気ぃ引き締めて行きますか!!」