シュッ



直ぐに消えたものの、あれは間違いなく、ラックさんの妹のマナちゃんが使っていた武器。



「ただの幻影ですよ。ただ、それで動揺するようでは特攻隊も、神殺しの伯爵家当主も務まりますか?」



「ッ!!そ、それは……。」



ラックさんの過去に何かがあったことは確かだと思う。けど、その何かも、今は気にしてはいけない。それは、今していいことじゃない。



「おいラック。その言葉に惑わされるな。今のは幻影で出て来た武器だ。言葉は、動揺したお前に向けてだ。んなこと気にしてられっかって、言えるようにするんだろ?

言ってやれ。」



言えと言っている百銃の王の眼差しは、真剣だ。



「うん、勿論だよ〜。そんなことをしても無駄だから、妹は、妹なりに頑張ってるんだから、お兄ちゃんがしっかりしなきゃダメでしょ〜。」



いつもの口調。いつも通りの顔。



「やっぱり、吹っ切れていないようね……

まあ、私からは何も言わないことにしましょう。」



拳を固める音が聞こえそうなラックさんをよそに、向こうは話を続けた。



「私に危害を加えないであろうことが証明されたところで、二つ目。

水神様が目覚める条件です。あくまでシラクスの考察ですがね。私(シュラ)とシラクス両方ががそばにいること。証拠に、一人で来ている今、なんともないですよね?」