「そうですか。では、それはいつ行われますか?」



喜んだように見えたのも束の間、それに回答することは皆控えたかった。



「んー、答えて欲しいのですけど?」



「どうしてもというなら、力ずくで聞き出せばいいんじゃないですか?」



風属性の扇子を無詠唱で生成した先生はこれだけは教えらえない。と言わんばかりに言った。



確かに、まだ決まっていないと言ってもいいけど、内政の混乱がバレてしまう。いや、バレているんだろうだけど、どの程度なのかががバレてしまう。



日付なんて決まっていないから、適当に言ってもいいんだろうけど、その日に襲って来ようとしている可能性がある。……そんな時だった。



「戴冠式はやらないし、フィル様は仮の第一王女を希望された。ファレリア様、あなたの復帰を待っていたいと。ヴィーナス王国真の第一王女は、現代ではあなた以外誰も務まらない。」



スラスラと話したのは、カイラ兄様。



お姉様は一瞬動揺したように見えたけど、全て事実、嘘は言っていないし、それが全て。



「そう…ですか……。ありがとうございますカイラ。それとフィー、元気そうで何よりです。」



あの禍々しい雰囲気。を放ちつつも、表情や中身はお姉様みたい。孤児院で会った、学園にいた、王女だったお姉様。けど、私にはわかる。