「残念だ。君はもっと優秀なヴィルだったはずなのに。そんな術式を使うだなんて。」



その人は、ゆっくり着地をしてユキナさんに右手を翳した。そしてこう言った。



「我が名はシラクス。悪魔の王にして、世界のキーを持つもの。裏切りの贖罪に値するは命だけ。さようなら、【元】同胞よ。

古代上級術式、王の審判(ロン・ジャッジ)」



もう少しで雪があたりそうなところで、降っていた雪は全て消え去り、足元から、光るように消えていくユキナさん。私は手を伸ばしても、消え続けるだけ。



「私が死んでも、この子が生きてくれるから。私は、後悔なんてないわ。

フィーネちゃん生きて。私の分も、幸せになって…。」



消えゆく声に、姿に、私は泣き叫んだ。溢れてくる涙は、誰かに制御されていたのであろう精霊力を一気に解放させた。



「私の名はフィーネ・アルマイラ、ユキナ・アルマイラの意思を継ぐ者。その名において貴様を

コロス!!」