それでも歯車は回っていく1 〜ウェルティフル学園編〜

「初め…まして……。」



一歩引きながら、絞り出すように言ったこの人は、僕の直感が危険信号を出していた。



「初めまして。ザン・アレクシアです。」



「フィーネ・アルマイラです。」



どうやら庶民らしい。そもそも孤児院に貴族はまず来ない。来ても、才能がある子供を養子にするくらいだ。



「フィーネはゲキと同い年だ。」



ってことは僕の二つ上。けど何だろう。最初に感じた違和感は…。



「今日はファレリア様は来ていないのか?」



「はい、何でも調子に乗ってきた伯爵の年寄りを黙らせてくるとか何とか…。」



父様は、あちゃーっていう感じの顔をしていた。



「事情はわかった。それじゃあ、いつもの場所で練習するか。」