それでも歯車は回っていく1 〜ウェルティフル学園編〜

僕は昔から、決して人前に出ることが好きだったわけじゃない。



僕の通った初学校でも年に一度模擬戦があったけど、わざとどこかで負けて、人の陰に隠れるように過ごしていた。まあ、その後通った三年間の学校ではちゃんとトップに立ったけど。



僕が変わったのは、ちゃんときっかけがあった。



それが、フィーさんとの出会いだった。



「ほら!せっかくだし行くぞ、ザン!」



この日母様は古くからの友人の方々と会っていて、兄さんはウェルティフル学園に入学するために部屋にこもって勉強をしていた。



正直言って兄さんや父様の様な戦闘狂は好きじゃない。



昔から、誰かを傷つけることはしてはいけないと母様が言っていたから。



けど、いい息子でありたかった僕は、父様の声に従った。



馬車に乗っても終始無言で、たどり着いたのは、小さな孤児院だった。



「おお、フィーネじゃないか!元気でやってるようで何よりだ!」



馬車を降りた父様は、僕が降りる前に誰かに話しかけていた。



「お久しぶりです。ルドガーさん。」



声質的に女性、大人ではないことはわかった。僕も馬車から降りて、その人を見た。