sideフィーネ



当初私は、瞬間移動でもいいかと思ってはいたけど、最後くらい歩いてもいいんじゃ無いかとゲキに言われて妥協していた。けど、こんな状況じゃ冷静に術式も発動できないな。



「何で泣いてるの、フィーちゃん。」



涙を両手でぬぐいながら最後尾を歩くしかない私は、ゲキに引き寄せられて頭を撫でられていた。



「辛いことは色々あったよ。

あったけど、気づけばそれ以上に楽しい毎日だった。

ずっとこんな日々が続けばいいのになって、ずっと、ずっと…。」



ファレリア様がいなかったら、私は今でもあの孤児院にいただろうし、この学園に来れたからこそ色々な人と出会えた。



「うん、俺も一緒だよ。

ここに来なかったらフィーちゃんに会えてなかったし、俺もこんな風になれなかっただろうし。」



歩いていたらいつの間にか教室の前にいて、ゲキが頭を撫でていた手は、私の手を握っていた。