それでも歯車は回っていく1 〜ウェルティフル学園編〜

そう。今のナルがいるのは



「今のナルがいるのは、ナルの両親が、ちゃんとナルを愛していたからだよ。」



ナルのお父さんが、ナルのことを思っていなければ書物さえ与えなかったんじゃないのか。



その答えを、もうナルは知っているだろう。



拭いても拭いても流れてくる涙で、顔はくしゃくしゃだった。



「じゃあ、僕はマナちゃんの試合を見てくるから、落ち着いたらいろんなとこ観てきなよ、ナル。」



僕はそう言って瞬間移動をしようと背を向けた。



「俺も行っていいかな?ザン。」



後ろから聞こえてきた声に驚いたものの



「勿論、いいに決まってるだろ。」



迷うことなくそう答えていた。


そして振り返ると、はにかんで笑うナルがいた。